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KAWASAKIしんゆり映画祭
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ジュニア韓国へ行く!
渡辺千鶴
木村満美
大宮理沙
柄本時生
岩崎麻由
押田興将
ジュニア韓国へ行く!
2004年11月16日〜20日、韓国・ソウルで「第1回大韓民国国際青少年映画祭」が開催されました。東アジアの若者たちが映像を通じ、互いの文化を理解し、互いに進歩できる国際交流の場となることを目的としたこの映画祭に、KAWASAKIしんゆり映画祭のジュニア映画制作ワークショップの作品が招待されました。
今回招待されたのは「Dynamite Drug」「We Want ¥en !?」「Catch ! 〜知られざるグローブの世界〜」の3本。その他6本も上映されました。ジュニアたちも映画祭に参加。一般家庭にホームステイするなど、貴重な体験をしてきました。
惜しくも賞は逃したものの、「Dynamite Drug」、「Catch ! 〜知られざるグローブの世界〜」の2作品で監督賞にノミネート!大賞には、日本映画学校卒業生・福田陽平監督の「歩くチカラ」が選ばれました。ついに、しんゆり映画祭も海外に進出!なのだ。
 「ジュニア作品海外初公開」 渡辺千鶴(サポートスタッフ)
招待された一行

えーっ、ジュニアたちの作った映画が海外で上映される!? 行く、ワタシも見届けに行く!「こちとらジバラじゃー」で構いませんとも。と、なにも詳しいことを知らないまま、ソウルに行ってきたのであります。

韓国国際青少年映画祭、期間11月16日から20日まで、会場は西江大学イグナシアス・ホール。ご招待を受けたのは、ジュニアの指導をしてきた佐藤武光監督、橋本信一監督、押田興将監督。いまは女子高校生の木村満美、岩崎麻由、大宮理沙、最年少・中学三年生の柄本時生。そして、日本映画学校卒業生の福田陽平さん。日本からは、ほかに大阪芸大の先生と学生さんたちも招待されていました。学生監督たちは、ソウルの一般家庭にホームステイ、おとなはビジネスホテル泊。ワタシは、学校のテストで17日夕方出発となった柄本くんと一緒にソウル・インチョン空港へ。運転してくれる人とちょっと日本語のできる可愛らしい学生さんが迎えにきてくれ、1時間ほどでイグナシアス・ホールに到着。すでに夜の9時を過ぎている。ここから、どーするの?柄本くんのホームステイ先の方は来ないのかなあ? ホールのなかを覗くと、弁士付きで古い韓国映画の上映中。面白そうだけど、ワケもわからず、寒いホールのロビーでうろうろ。橋本監督の携帯に連絡がとれ、ホテルへ行くことになる。聞けば、手違いで柄本くんのホームステイがキャンセルになっていたとか。うーん、はりきってお土産選んできたのにねえ。

もうこの時点で、この映画祭の段取りの悪さが分かりかけてきたのだが、初日から来ていた監督たちは、すでにかなりの苦労をし、苦言を呈していたそうな。ジュニアの作品も英字幕なしで上映されていたりして。昨年・一昨年の作品には英字幕を付けてあったのに・・・残念。キョーポ生命(たぶん)や韓国バスケットボール・リーグの総裁も関係する理念のりっぱな映画祭ではあるけれど、第一回目だからね。しんゆり映画祭の運営委員を第一回からやっている橋本監督は、フェスティバル・ディレクターのキムさんが謝ったり、スタッフに何やら頼んだりしている姿を見るたびに、苦情を言いながらも、「わかる、わかる」と同情していた。このキムさんは、結構名の知れた映画監督だということが、屋台の飲み屋で判明した。ほんと、ごくろうさま!デス。

18日。まずは、やっぱり映画を観ましょ。韓国と日本の作品ですね。おや、柄本くんの『Catch!』に字幕が付いてません。この野球のグローブのドキュメンタリーが字幕なしでわかるんでしょうか? せめて、監督が来ている作品には字幕を付けてくれるように昨日頼んだらしいのですが、やはり翌日では無理ですよね。それ以上に気になるのは、観客が数えるほどしかいないこと。ポスターやノボリはハデなんだけどなあ。監督をわざわざ海外から招待したのに、観客はいないし、3作品ずつ繋いで、間もなくどんどん上映していく。なんだか、もったいないなあ。上映のあとに、監督のはなしや観客の感想が聞けたら、もっと青少年映画祭らしいのに。日本から行ったジュニアたちも、外国の人の感想を知りたかったでしょう・・・残念。

それでも、19日は映画祭らしく、特別座談会が開かれた。日本からは、映画学校の福田さん。韓国はいかにも監督志望って感じの女性パクさん、中国は見た目は女子高生のような、可愛らしいエリート孫さん。ここでは、日本語・中国語の通訳が付き、時間はかかるものの、理解できるイベントだった。

20日は中国の作品を観る。北京電影学院の作品はかなりレベルの高いもので、お昼を一緒した袁さん(撮影を担当)に聞くと、日本でいう大学院であり、超エリートなのだとか。うちのジュニアの作品と並べられたらタマランわな。中国からきている先生がたと交流するのも、通訳を2人介するので大変だ。でも、ジュニアや学生たちは英語でなんとか交流しているようで、若さだね。

夜は閉会式&表彰式。すべて韓国語で進行される。映画上映にはいなかった観客でホールは満杯となる。とにかく、ハデ。民族舞踊あり演奏あり、テレビ取材あり、有名な歌手(名前は?)も2曲歌い、客席の若者は大喜び。その合間に受賞者が発表されていく。すべてが韓国語のみなので、最初のプレゼンターとなった大阪芸大の先生も戸惑いを隠せない様子でした。監督賞・芸術賞・審査員特別賞など(たぶん)が発表され、最後に大賞(ONURI Award)は、映画学校の福田さんの頭上に輝いた。ドラムが鳴り響き、花火や紙ふぶきが舞う演出。すっ、すごい。でも、なにか違うような気もする。なぜ、あのレベルの高い中国の作品はほとんど賞を取らなかったのか。あとから聞けば、賞の対象は24歳以下で会場に来られた人だからとか。じゃ、そういう学生たちを招待すればいいのに、って思ってしまう。

この夜、柄本くんは念願のホームステイに。責任を感じたキムさんが一晩泊めてくれたのでした。おせわになりました。

21日早朝、空港に送っていただき、全員無事帰国。いろいろな意味で面白い体験ができました。ジュニア作品の評価をあまり聞けなかったことは、残念でしたが、会場スタッフや通訳スタッフの若者には頭が下がりました。第二回はきっと、もっともっと観客の入る映画祭になることでしょう。参加できたジュニアたちも、きっと貴重な体験だったはず。しんゆり映画祭にも何か役立てられれば、なんて思っていますが、さてさて・・・。

 「サランへヨ」 木村満美(18歳)

初めての韓国。寒い。韓国語もハングルもわからない。が、そこはやはり若さ。映画祭で、中国・韓国の友達をつくり、昼食を共にした。各々の言語が飛び交う光景に、「自分めっちゃ国際人じゃん?」という感想を抱いた。ホストファミリー宅では、チマチョゴリを着せてもらったり、7歳の男の子にテコンドーを教えてもらったりと短い間で充実した時間を過ごせた。次回は絶対韓国語を使えるようになって行ってやる。

サランヘヨ、ハングク!(韓国、愛してる!)

 感謝 大宮理沙(17歳)

すごく楽しかった。作品は正直少ししか見られなかったが、みんなの映画に対する思いを聞けたし、作品に対する熱意も感じることができた。自分の作品は家族を題材にしたものにしようとなんて思ったこともなかったけど、家族の話を撮っている人が結構いて、些細なことを題材にしていることに驚いた。そして自分も撮ってみたいと思った。ホームステイは家族の方がとってもよくしてくれたのですごく楽しかった。ルームメイトである大阪芸大の人と関西弁でなんだかんだ話したのも楽しかった。韓国料理もおいしくて習って帰りたいぐらいだった。

でも初日はすごく不安だった。ホームステイの家族の情報は何もなかったし、一人でホームステイと言われていたのに行ってみたら二人だった。それに、次の日どうするのか行き方もわからないし時間も何も指定されないことにすごく混乱した。足をケガしたり色々あったけど、やっぱり行って良かった。自分のものを含め色々な作品を観て、韓国・中国・日本の学生と感想を言い合うことができて面白かった。意外にも自分の作品を観て話しかけてきてくれる人もいて驚いた。迷っていた進路を再確認することができた。ほんとに行って良かったと思う。励まされたし何より楽しかった。また参加したい。

このような機会を与えてくださり手配してくださった皆様に深く感謝しています。

 柄本時生(15歳)
僕は今回、韓国国際青少年映画祭に呼ばれた。
最初に聞いた時、とても嬉しかった。
初めて韓国に行くだけに、すごくドキドキした。
飛行機に乗っているときでもドキドキしていた。
飛行機から降りたら、まわりはハングル文字で
韓国に来たんだなあ、と改めて感じた。

映画もどれも素晴らしくて、福田さんが作った作品の
「歩くチカラ」は特におもしろかった。
自分の作品も前に見た時よりおもしろく感じられた。
監督賞にもノミネートされて、賞は取れなかったけど
世界の一流に自分の作品が認められたんだなあ、と
思ったらとてもうれしかった。
ホームステイ先では、一日だけだったけど
みんなに優しくしてもらって言葉の通じない中で
とてもいい経験をしたと思えて気持ちがよかった。
また機会があったら韓国語を覚えて行きたいなと思いました。
 岩崎麻由(17歳)
仲良く2人で

空港へ行くバスの中では、まだ7時にもかかわらず(木村)まみちゃんとひたすら英語を使い、これから向かう韓国への期待で異常に盛り上がっていた。

韓国に着いたのは16:40。もう辺りは暗くて一見、日本と変わらない。が、しかし落ちつくと周りはハングル文字に韓国語がとびかい、ああ韓国に来たんだなぁと実感した。

バスに乗り向かったのは今回の映画祭の会場。ライトアップされたきれいな大学だった。突然、和太鼓(?)のドーンという響きでオープニング・セレモニーが始まり、スモークで真っ白になった。盛り沢山な式が終わると、ホームステイ先にまみちゃんと向かった。

私たちのホームステイ先は3人家族の広いマンション。若いお母さんと7歳のチーホーくんが迎えてくれ、インスタントのピリ辛ラーメンとキムチをいただいた。かたことの韓国語と英語を使いつつ、家族と仲良くなれた気がする。

映画祭は一日中、日・中・韓の学生が撮った映像が流れていた。言葉がわからなくても韓国の映画は素直なストーリーや音楽でわかりやすかった。会場で友達になった中国の人と通訳の韓国の人と一緒にお昼ご飯を食べたとき、日本のアニメ(ドラえもん、トトロとか)が有名だということがわかった。それに、超人気!?冬ソナのヨン様のことなど韓国俳優さん裏話などで盛り上がり、日・中・韓の交流を感じ嬉しかった。

3泊4日、韓国への旅もあっという間にすぎ、帰りの飛行機のなかから見た韓国の夜景の美しさは忘れられない。

ほんの2時間しか離れていない韓国や、中国でも同じように映画を作っている人がいると思うと嬉しいし、負けられんと思う。夜のバスで迷ったり、いろんな人と出会ったり、本当に良い経験ができた。また、ぜひ韓国を訪れたい。

 「韓国カタコト道中録」 押田興将(指導講師:映画監督)
食事は一緒に

韓国映画っていえば、『猟奇的な彼女』とか『殺人の追憶』なんて、すっごく面白かったね、オレは。特に『殺人の追憶』なんて、ここ数年で一番といっていいくらいよかったね。参ったね、降参だね。国をあげて映画を盛り上げてる感じがして、うらやましいことこの上ないね。サムソンは、ガンガン伸びてるし、日本に追いつけ追い越せって急成長。国際経済にうまく乗って、インターネット大繁盛。経済大国の称号も、もう目前だ。やったね韓国!憧れだね、韓国人になりたいね。コリアン最高!ヤキニク万歳!って感じだね。

てなイメージで、初体験した韓国。溢れるハングル文字。そりゃそうだ。けどこの世の文字とは思えない。アラビア文字かハングルかっつうカンジ。看板くらい、英語と両表記位しといてくれよ、何売ってる店だか全然わかりませんよ。ITでしょ?グローバルでしょ?サムソン、頼むよ。

ホテル到着。早速、佐藤監督から、酒かって来いとのご命令。酒を売っている店をたずねるためにフロントの若いカワイイ女性にカタコトの英語で話しかける。ニコニコしてる。おお、いい感じ。でも、通じてないみたいだ。こっちもカタコトだ、しょうがない。で、も一回、手振りも入れてみた。ニコニコしてる。すんごい笑顔だ。かわいいなあ。でも答えてくれよ、店を教えてくれよ、コリアンガール。おっかない先輩がオレの帰りを待ってるんだよ、ハニー。そこへ、奥からマネージャーらしき人が出てきた。同じことを繰り返す。すぐ酒を売っているコンビニを教えてくれた。そうか、ハニーは英語ができないのだね。いいよ、かわいいから。でも、わからないときは、わかる人に聞こうね、ハニー。

部屋で、佐藤監督の熱弁を拝聴していると、橋本監督から、ここのパソコンは立ち上がらないからちょっとみてくれと言われた。韓国は、IT先進国。各部屋に無料でインターネットができるパソコンが設備されている。さすがだ。けど、つながらない。

ボーイを電話で呼ぶ。見るからにシャイで好青年。礼儀正しく、これまたニコニコしている。オレ好きだね、こういう青年は。システムが壊れているようだけどと言ってみるが、大丈夫と笑顔で答える。と言っているようにしか聞こえない。お互いカタコトだ。きっと大丈夫と言っているようだから大丈夫なんだ。人は見た目によらないね。頼もしいね。

パソコンを再起動し、しばらく好青年は真剣なまなざしでパソコンとにらめっこ。ふと振り返ったね彼は。笑顔で、「システムエラーです」。いいんだよ、わかってるよ。わかっていることは笑顔じゃなくていいんだよ。明日、わかる人が来るから直しますってさ、心配するなってさ、キミは、わかる人だからきたのではないのか?

よし、そういうこともある、しょうがいない。英語カタコトのオレだって気を取り直すくらいできるんだ。キミはパソコンがカタコトなんだね。心配なんかしてないよ。明日は頼んだよ好青年。キミらは徹夜で働いてんだ、朝、モーニングを死ぬほど待たせたって、こっちは一字の文句もないってもんさ。

翌日は、韓国の偉い人たちと話して、食事して、また偉い人にあって食事して。食事は、おいしいね。最高だね。韓国好きになりそうだね。偉い人たちには、カタコトの英語も通じたしね。向こうの人の英語はさっぱりわからなかったけど、きっといい人だ韓国の人は。オレの顔見て笑っている気がするけど、それは、オレの性格だ。そんなはずはない。

夜、気分良くホテルに帰ってくる。やっぱりパソコンはつながらない。予想通りでしょ。こういうときの意外性はないね、韓国には。もう一回、フロントに事情を説明する。再び、好青年登場だ。キミは一体何時間働いているんだ?お母さんが、体を心配しているに違いない。でもね、キミはパソコンカタコトなんだ。

大丈夫?今日、わかる人は見てくれましたか?と尋ねる。いいね、笑顔がいいね。でも答えてくれよ、好青年。オレの英語が通じないのか?それともキミの英語は、オレより数段カタコトなのか?もういいんだ真剣なまなざしは。メインユーザーでログインして、設定から見ないとダメでしょうと、カタコト言ってみる。大丈夫だと笑顔で答えてくれる。おお、見事な愛想返事だね。だって、通じてないのが、オレにだってわかる。こっちは、わからない単語を身振りで話す日本語だって、アメリカ人のごときイントネーションとオーバーアクションで頑張ってんだ。イラク派兵反対!キミの思想は充分に理解できるよ。だけど、それとこれとは話が別だ。キミがアメリカ人が嫌いで耳をふさいでいるのかもしれない。なら、せめて、ちょっと通じる人連れておいでよ。

何度か、リセットボタンを押して再起動を繰り返す。彼は、言ったね。予想通りだ。「ボクにはログインできません」 裏切らないね、好青年は。こっちの期待をちゃんと知っている。そうだよ、パソコンってそういうもんだ。パスワードとかIDとかイロイロ面倒くさいよ。でも仕方ないんだ、好青年。いくら従業員といえど、それがわからねばパソコンは直せない。社会の矛盾を受け入れなければ世の中生きていけないんだ。

好青年は、本当にすまなさそうな顔をして、部屋を後にした。さようなら、そしてありがとう、好青年。キミは、働きすぎだ。ぼくらが到着してから、ずっとこのホテルにいるんだ、何ができなくたって誰も文句なんか言わないよ。キミは、労働基準法違反の好青年。ゆっくり家で休んでくれ。

今度会う時は、ハングルカタコトになって、帰ってくるよ。アイルビーバックだ。このくらいハングルで言えるくらいにね。

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