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「KAWASAKIしんゆり映画祭」のみどころを、市民スタッフが熱い思いとともに紹介します! 映画館に足を運ぶ前に、そして映画をご覧になったあと、ぜひぜひお読み下さいウマー!映画を観られてのご感想もお待ちしています!

 

●「映画館のデジタル化のおはなし」(市民スタッフ シネレポ!さかい) 10/13更新

●「SR3サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」(市民スタッフ・みなと) 10/11更新

●「サウダーヂ」(市民スタッフ・みなと)10/11更新

●ドキュメンタリー特集 3.11からみる世界~未来(あした)を変える(市民スタッフ・うしじま)10/10更新

●時代を彩る名画たち~しんゆり名画座へようこそ!(市民スタッフ・おおがき) 10/4更新

 

 

映画館のデジタル化のおはなし

 

映画館のデジタル化のおはなし その1 

~フィルムからデジタルへ~

数年前
3D映画が流行り始めのころから
映画館のホームページの作品情報欄に
“デジタル上映”という文字を

見かけるようになりました。
当初は3D作品以外に“デジタル上映”と書かれている作品は
あまりなかったのですが
最近はほとんどの作品が

“デジタル上映”となっています。

 

皆さんお気づきでしたか?

 

そもそも映画は誕生して以降100年以上
フィルムで上映されていました。
今年映画祭で上映したジョルジュ・メリエスの時代から
映画はフィルムで上映されてきたのです。

 

技術革新が進んだ、今、映画の上映方法が
フィルムからデジタル(DCP)へと変化しています。

 

特に「アバター」以降の3Dブームと
(最近の3D映画はデジタルによる上映が主)
機材の開発が進み、さらに販売の仕組み(主にリース)が画一され
2010年以降、急速に映画館のデジタル化が進みました。
2013年中にはほとんどの映画館の
デジタル化が終了すると言われています。

 

一方で多くの観客の皆さんが
この1,2年でデジタル上映が急速に増えていることに
気づいていないのではないでしょうか?
そのぐらい、違和感なく映画館のデジタル化は進んでいるのです。

画像提供:マツダ映画社


 

 

 


 

映画館のデジタル化のおはなし その2 

~なぜ?デジタル化?~

 

なぜ?デジタル化なのか?
現在各地の映画館で採用されている
DCPというデジタル素材は
ある一定のクオリティを保証された上映環境(プロジェクターなど)を
一度設置してしまえば、今までのように、
作品ごとに専門の技術者(つまり映写技師)が細かい調整をしなくても、
それぞれの作品を一定のクオリティで上映できる、ということです。
また、フィルムと違って経年による劣化が少ないとも言われています。
つまり、フィルムだと上映をすればするほど、フィルムに傷や汚れがつきますが、
デジタルの場合は映像そのものにダメージがつくことはほとんどありません。
また、電磁透かしを入れたり、上映時間や回数、上映場所など細かく管理することができ
著作権の保護の上でもとても有用と言われています。

 

この映画(館)のデジタル化には
上映作品の画質の均一化や盗撮防止などのセキュリティ面の他
上映用素材の準備段階でのコスト(コピーや物流など)の削減や
上映時でのコスト(人件費等)の削減を期待されて開発されました。

 

一方で
“保存”という意味ではフィルムとは違いまだ実証がなく
耐久年月がどのくらいなのか不明な点も多く
日本国内で数少ないフィルムアーカイヴである
国立近代美術館フィルムセンターでは
デジタル素材のアーカイヴ(保存)については検討段階と言われています。

デジタル上映用シネマサーバー

 

 

 

 

映画館のデジタル化のおはなし その3 

~デジタル化への道~

 

今まで、映画のデジタル化ということは
いろいろな側面で試されてきていて
特に制作現場では早い段階でデジタル化がなされ
そのおかげで、CGやVFXを駆使した作品が製作され
我々を楽しませてくれていましたが、

 

一方、映画を上映するというところでは
なかなかプロジェクターの技術革新が進まず
また、業界内での統一規格というものもなく
一部(特に日本国内では)DVDやDV-CAM(業務用のビデオテープ)などでの
プロジェクター上映はあったものの
35㎜映写機に代わる(=同様のクオリティ)での
プロジェクター上映という意味では
なかなか世界的に浸透するところまではいっていませんでした。

 

1990年代に入ってから
アメリカの半導体メーカーがプロジェクターの為の部品を開発し、
それによって、ビデオプロジェクターの明るさや画質が
飛躍的に向上することになりました。

 

そんななか、ハリウッドの大手スタジオ(製作者)7社(当時)が
2002年に合同会社を設立し
2005年には統一規格の指針を制定しました。
この規格は大きく分けて画質とセキュリティに関して事細かく規定を設けてあり、
当初ハリウッド(および周辺)での規格の指針でしたが、
その後全米SMTPE(米国映画テレビ技術者協会)、
全世界とISO(国際標準化機構)でも認定される規格となりました。
なお35㎜フィルムも、1909年にISOにて国際規格として認定されているそうです。

DCP対応プロジェクター

 

 

映画館のデジタル化のおはなし その4 

~急速なデジタル化=その訳~

 

どうして、このように数年と短い期間でデジタル化が進められたのか?
デジタルシネマの為の機材一式を導入するには
1スクリーンに対しておよそ1,000万円かかると言われています。
これだけの機材を映画館だけが負担して導入するのはとても大変なことです。
そこで
機材導入の為のリースの仕組みが考えられました。
フィルムで上映をする場合に
フィルムのコピーや運搬などにかかっていた経費が
デジタル(DCP)上映の場合は
おおむね費用が抑えられるといわれています。
そこで、そうした費用を負担していた映画会社(配給会社)が
映画館に導入される機材の費用の一部を負担するという仕組みが考案されました。
それはVFP(ヴァーチャルプリントフィー)と呼ばれる仕組みで、
少ない初期投資で機材の導入が可能となり
実際約2~3年と短い期間で多くの映画館に
デジタル上映の為の機材が導入されることになったのです。
シネコン各社など大手の映画館の多くがこのVPFという仕組みを使って
映画館をデジタル化しています。

 

しかし、このVPFという仕組みは
映画の公開に合わせて200本や300本フィルムを用意
(つまり、200~300スクリーンで一斉公開)していた映画会社(配給会社)に
とっては実際経費削減ができとても有用な仕組みなのですが
公開に際して十数本しかフィルムを用意していなかったり
もともとフィルム以外の上映素材(ブルーレイなど)で公開していた
映画会社(配給会社)にとって経費はそれほど大幅に削減できるわけではなく
VPFという仕組みが足枷になってしまっている場合もあるのです。   

DCPデータの入ったハードディスク

 

35mmフィルム

 

 

 

映画館のデジタル化のおはなし その5
~取り残された35mフィルム・その今後~

 

上記の様に、急速な映画館のデジタル化によって、
新作映画のほとんどがデジタル(DCP)での上映となって
35㎜フィルムでの上映の機会が減ってきています。
それによって、35㎜フィルムでの上映環境に変化が出てきています。
映画館での技術者(映写技師)の職場の減少(特にシネコン各社)や、
日本最大手の映写機メーカーの倒産などにより
機材の調達やメンテナンスの問題など
35㎜フィルムを取り巻く環境が変化してきています。

 

そのような状況の中
35㎜フィルムしか上映素材がない作品、デジタル化していない作品
つまり、DCP化も、DVDやブルーレイ化もしていないような作品が
見ることができなくなるのではないか?
そして、そうした希少な作品のフィルムが破棄されてしまうのではないか?
さらには、映写ができる技術者(映写技師)がいなくなってしまうのではないか?
映写機自体もメンテナンスできる人間が減ってしまい
最終的にきちんと動作する映写機がなくなってしまうのではないか?
などを懸念する動きが出てきています。

 

そんな懸念をうけて、
9日のゲストでいらっしゃった飯田橋ギンレイホールの藤永さんのように
残念ながら閉館となってしまった映画館から映写機を譲り受けて保存しようとしたり
今となってはあまり横のつながりのない映写技師を集めて情報交換をする場を作るなど
35㎜フィルムでの上映環境を守ろうとする活動も始まっています。

 

35mm映写機

                      (市民スタッフ シネレポ! さかい)

 

 

 

 

「SR3サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」

お待たせ!シリーズ第3弾!

シリーズ3作目は、ブロッコリー畑で育ったラッパー・マイティが主役。

SRファンの期待をいい意味で裏切る、ギラギラハードな展開。
正直で夢にまっすぐだったマイティに訪れる、幾多の苦難。
そこに遭遇するサイタマからトチギへ流れ着いたかつての仲間・ラッパーたち。
ラストは胸が熱くなります。

さて、我々しんゆり映画祭スタッフは、このシリーズに愛情を持ちすぎて、常軌を逸した行動に出ることがしばしば…。

2010年、「SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー★傷だらけのライム」上映時は劇中に登場する、ラッパーの聖地的な存在”タケダ岩”をしれっと制作、来場されたお客様の撮影スポットとして盛り上がりました。


また今年は、”シンユリノラッパー” を勝手に結成!


10月14日(日)16:30、入江監督、TOM役の水澤紳吾さん、音楽の岩崎太整さんを
お迎えする上映時も、また何かが起こる予感……。

”何が”起きるか、皆さんお楽しみに!

ご来場されるお客様の皆さんと一緒に、この作品を楽しめたらうれしいです!

(市民スタッフ・みなと)


©2012「SR3」製作委員会

「SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」

10/8(月・祝) 13:40 

川崎市アートセンター・アルテリオ小劇場

 

10/14(日) 16:30★

川崎市アートセンター・アルテリオ映像館

★ゲスト:入江悠監督、岩崎太整さん(音楽)、水澤紳吾さん(トム役・俳優) 

※さらに、マイティ役の奥野瑛太さん、劇中で「征夷大将軍」のラッパーを演じる回鍋肉さんのご来場も決定!(10/12)

詳細はこちら

 

 

 

「サウダーヂ」

腐った社会、クソみたいな毎日に埋もれてたまるか、バカヤロー。

 

―2006年の「国道20号線」発表以降、その存在を広く世に知られることとなった、”最強”の自主映画制作集団・空族が放つ最新作。

 

地方都市の空洞化、経済的弱者、外国人との軋轢と共生、低賃金の肉体労働など日本の各所で誰もが見て見ぬふりをしてきた問題を通して、汗とほこりにまみれて働かざるを得ない人間たちの心の奥底にある怒り、苛立ち、孤独、衝動をえぐり出した本作。

 

数ある商業映画を押しのけ、自主制作の映画としては異例ともいえるロングランヒット上映中。

 

公開から一年が経った今もなお、噂を聞いて見逃すまいとかけつける映画ファン、
もう一度見たいというリピーターが多数発生中!しんゆりでは初上映!
脚本家の相澤虎之助さん、出演者のおひとり、川瀬陽太さんの貴重なトークも見逃せませんよっ!(市民スタッフ・みなと)

©空族

「サウダーヂ」

10/12(金) 18:30

川崎市アートセンター・アルテリオ映像館

 

10/13(土) 18:25★

川崎市アートセンター・アルテリオ映像館

★ゲスト:相澤虎之助さん(脚本家・映画監督)、川瀬陽太さん(俳優)

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ドキュメンタリー特集 3.11からみる世界~未来(あした)を変える

2011年3月、東日本大震災。

この震災で、日本は、地震、津波、そして原発事故というそれまでの日本とは大きく変わる局面を迎えることになりました。震災・原発事故から1年半が経過した今、被災地と関わることを継続している方は、いま、どれくらいいるのでしょうか……。

忘れず、なにかしらの行動が伴っている方はどれくらいいるのでしょうか……。


©松林要樹

「相馬看花 第一部 奪われた土地の記憶」は、あの大地震の揺れの映像から始まります。

松林重樹監督のすごいところは、あの揺れの中、とっさに「撮ったこと」。これは、他の某監督も「尊敬するに値する」とおっしゃるほどのドキュメンタリー魂。

日本人として、現地の現状をニュースなどの報道でさらされた数字からではなく、当事者の気持ちそのものを知る、そしてそれが時間とともに変化していくことも知る、という継続性が大事なのではないかと思います。そうやって深く知ろうとすることも、立派な一つの行動だと思うのです。

世田谷の自宅でとっさに<始まり>を撮った、福島とは縁のない九州男児の松林監督が現地に赴き、南相馬の苦悩を人々の気持ちを捉えて撮ったことの一つ一つを、今また反芻してみて、なにかしらの感情を奮い立たせることにもまた意味があるのではないでしょうか。

 

 

 

 

そして、福島県双葉町出身の佐藤武光監督が撮った「立入禁止区域・双葉~されど我が故郷~」

佐藤武光監督は双葉町の同級生と連絡を取り合いながらこのドキュメンタリーを撮影しました。まず、現地に行くためのガソリンを集めることからして困難だった中、なんとか故郷にたどり着きました。そんな監督が、故郷の変わり果てた風景や親しい人々をどういう目で捉えていったか、厳しい現実を写しとっていく中でも、ふるさとへの想いが、愛が、つぶさに感じられる作品なのです。 

私自身、当時のニュースや報道の記憶を辿ると、やはり数字などのデータ類がまず脳裏に浮かんできます。 データは、もちろん大事なものでしょう。がしかし、データをみても「現地のために何ができるか」などの情動性は起こってきません。それこそ、傍観者を作り出すのみのような気がします。

 

ふと、ニュースや報道とドキュメンタリーの違いについて考えます。

即時性をもって淡々と事実を伝えるのがニュース・報道なら、人々の口から発せられる言葉や表情を捉えて観る者に考えさせる効果があるのがドキュメンタリーである、といえそうです。ただ、映像を観る限りにおいては、どうしても傍観者。 そこからどう当事者意識をもって行動できることに結びつけていけるのか、個人的には私の命題となりつつあります。

 

12日、13日、2作品連続上映となっております。ドキュメンタリー2本、両方をご覧いただき、その違いなど掘り下げていただければ、大変うれしく思います。13日はこの二人の監督たちがご来場します。上映だけでなく、監督やゲストたちから<その後>がお聞きできたり、秋元紀子さんによる詩の朗読があったりするお得な日となっております。

どうぞしんゆり映画祭にお運びいただき、傍観者とは?当事者意識とは?なんて考え込む一市民スタッフの私にお声かけいただき、一助をいただけたら幸いです。

(市民スタッフ・うしじま)

 

©「立入禁止区域・双葉」制作委員会

【ドキュメンタリー特集 3.11からみる世界~未来(あした)を変える】

 

「立入禁止区域・双葉~されど我が故郷~」

10/12(金) 10:00  川崎市アートセンター・アルテリオ映像館

10/13(土) 13:00★ 川崎市アートセンター・アルテリオ小劇場

★ゲスト:佐藤武光監督 朗読:秋元紀子さん(俳優・語り)

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「相馬看花 第一部 奪われた土地の記憶」

10/12(金) 12:40  川崎市アートセンター・アルテリオ映像館

10/13(土) 16 :15★ 川崎市アートセンター・アルテリオ小劇場

★ゲスト:松林要樹監督、田中京子さん(南相馬市市議会議員)、田中久治さん(元JAそうま農協理事)

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「シェーナウの想い」

10/14(日) 13:10  川崎市アートセンター・アルテリオ小劇場

ゲスト:彦根アンドレアさん(建築家)、岩崎敬さん(環境デザイナー)

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時代を彩る名画たち~しんゆり名画座へようこそ!

今年のKAWASAKIしんゆり映画祭はひと味違います。

フィルム映写機が映画館から急速に姿を消しつつある今こそ、古き良き世界の名作を

映画館で観る喜びを伝えたい!

というわけで、映画創生期から100年あまりの中から、選りすぐりの傑作を取りそろえ

ました。

まずは20世紀初頭の『月世界旅行』。今年、話題になった『ヒューゴの不思議な発明』

にも登場するG.メリエスの着想が光るSF映画の原点です。

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画像提供:マツダ映画社

『アントニーとクレオパトラ』はイタリア映画が世界をリードした時代の、代表的な歴史劇です。この2本の無声映画は澤登翠さんの活弁付き上映です!

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画像提供:マツダ映画社

アイルランドの小島で自然と人間のかかわりを雄大にとらえた『アラン』は、映画祭でおなじみ、映画評論家・佐藤忠男さんのトーク「佐藤忠男の映画史」もお楽しみに。

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作品提供:山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー

『天井桟敷の人々』は、映画史上の名作ベストテンで必ず挙げられるフランスの至宝です。19世紀パリの華麗なる人間模様を堪能してください。

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©1946 Pathe Cinema - all rights reserved.

“永遠の青春スター”ジェームズ・ディーンは、初主演作『エデンの東』で、甘いマスクで翳のある若者を演じ、昔も今も女心をワシづかみ!

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©2012 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.

フランス発の“新しい波=ヌーヴェルヴァーグ”は、世界中の映画作家に影響を与えました。ゴダールの『勝手にしやがれ』は今もなお輝きを放ち続けています。

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©フランス映画社

『イージー・ライダー』の登場は衝撃的でした。アメリカン・ニュー・シネマの象徴的な作品です。音楽にはシビれます。ワイルドでいこう!

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©1969 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

『家族ゲーム』は昨年末になくなられた森田芳光監督の代表作であるばかりでなく、家族関係の変容が見事に写しとられた新・東京物語でもあります。

詳細はこちら

©NIKKATSU

以上、駆け足でご紹介しましたが、しんゆりでは今度いつ観られるか分からない(!?)貴重な機会を、ぜひお見逃しなく!

(市民スタッフ・おおがき)

 

 

 

 

 

 

cinema-uma@siff.jp