“わくわく・ドキドキ”感動を共有しませんか
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KAWASAKI しんゆり映画祭 実行委員長 白鳥あかね |
今年から、しんゆり映画祭は帽子のようにKAWASAKIを頭にのせることになりました。ちょっと、おしゃれな感じです。でも、これはただのデザインではなく、映画祭を支えるすべての市民たちの切なる願いがこめられているのです。
うなぎの寝床のように南北に細長い川崎市。その最北端に位置する新百合ヶ丘は、ショッピングやレジャーの中心地としてだけでなく、映像、美術、演劇、音楽など文化活動の一大拠点としての役割を担っています。しかし、その地理的条件のため、南部の中心地との情報交流がなかなかスムーズにいかないのが実情です。
総勢100名にのぼる市民ボランティアの力に支えられて、めでたく9回目を迎える本映画祭のユニークな活動についても、まだ御存知ない市民の方も多いことと思います。そこで、もっと広く川崎市全域にわたり理解を深めていただきたい…との願いをこめKAWASAKIマークの帽子をかぶることに致しました。今後共、どうかよろしくお願い申し上げます。
さて、2003年のテーマは「わくわく・ドキドキ」。
日本経済は依然として低迷し、世界中で殺し合いが続くこんな時勢だからこそ、未来の希望を映画に託し、観客の皆さんと一緒に心躍らせ、感動を共有したいと思います。
夏休み最後の土曜日に行われた野外上映のテーマは「宮沢賢治の夏祭り」。上映作品には「セロ弾きのゴーシュ」(高畑勲監督)を選びました。村の活動写真館の楽士でセロを弾くゴーシュは、いつも音程を外し指揮者に叱られてばかり…。そのゴーシュが毎晩水車小屋を訪ねてくる森の動物たちに励まされて特訓を続け、とうとう最後には観客が総立ちになる程素晴らしい演奏をする感動的な物語です。この物語のそれぞれのシーンには、何とたくさんの「わくわく・ドキドキ」が秘められていることでしょう!
会場では「賢治の夏祭り」を再現するため、昔の遊びコーナーが実現しました。紙芝居の上演をはじめ、けん玉やめんこ、おはじきなどの遊び方の指導をして下さったのは、麻生文化協会のメンバーや地元老人会の有志、そしてしんゆりアート市の皆さんです。
バリアフリーで上映される「猟奇的な彼女」。副音声やセリフの吹替えの声優さんは、応募された100名をこえる市民の中から選ばれたボランティアの方々です。
中学生の映画づくりをサポートする「ジュニア映画制作ワークショップ」の今年のテーマは「ドキュメンタリーへの挑戦!」。その中の一班は、ノーベル物理学賞受賞者の小柴昌俊東大名誉教授の「ニュートリノ天文学」に注目し、「何とかこの仕組みを一般の人にわかりやすく紹介できないだろうか?」と考えました。指導講師の安岡卓治氏と共に岐阜県のスーパーカミオカンデを訪れ、貴重な映像を撮影したばかりか、小柴名誉教授とのインタビューまで実現させてしまいました。関係者の御尽力に心から感謝申し上げます。
本年は又「豪日交流基金」(AJF)の特別なご協力を得て、「オーストラリア映画の小径」と銘打ち、劇映画2本、ドキュメンタリー2本の特集上映を行い、オーストラリアから映像教育の権威をゲストとしてお迎えすることが出来るのを大変うれしく思います。市民の皆様にも、映像を通じて国際的な理解を一層深めて頂ければ幸いです。
最終日に21ホールで上映される「掘るまいか〜手掘り中山隧道の記録〜」は昭和の初期、新潟県の雪深い山古志村の人々が、自らの手にツルハシを握り、隣村に抜けるトンネルを掘った実話に基いて制作された感動作です。新進ドキュメンタリー作家の橋本信一氏は、今年のジュニア映画制作ワークショップの指導講師でもあり、当映画祭の運営委員のメンバーとして熱心に活動を続けて来られました。私たちはこの作品を皆様にお観せできることを誇りに思い、観客とともに感動を分かち合えることを願ってやみません。
スタッフ一同皆様のご来場を心からお待ち申し上げます。
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