「しんゆりバリアフリーシアター」を知っていますか?

河瀨直美監督作『光』(2017年)をご覧になって初めて、映画の「副音声(※)イヤホンガイド付き上映」を知った方もいるかもしれません。
KAWASAKIしんゆり映画祭のバリアフリーシアター(「しんゆりバリアフリーシアター」)では、1997年に副音声イヤホンガイド付上映をスタート。2017年までに90本の副音声制作をしました。
2000年には聴覚障がい者向けのバリアフリー日本語字幕付上映をスタート。
これまでに18本の映画のバリアフリー日本語字幕付上映、そのうちの9本では字幕制作も行いました。
さらに、育児中でも映画が見たいという方のための保育付上映など、どなたにでも気軽に映画を楽しんでいただくための活動を続けています。
このページでは、しんゆりバリアフリーシアターのこれまでの歩みと、スタッフの活動についてご紹介します。

※“副音声”とは、登場人物の動作や、セリフの話者、情景を言葉で伝えるものです。

しんゆりバリアフリーシアターはこうして始まった 音声インタビュー(YouTube)

★さんざし代表 武村桂子さん(聞き手 当映画祭スタッフ・滝沢春江)

音声インタビューはこちらのリンクから聞けます(YouTube動画が開きます)→https://youtu.be/R0HcUeT8sXM


お話をうかがったのは、朗読ボランティアグループ「さんざし」代表の武村桂子さん。
「さんざし」は1991年から川崎市北部を中心に、朗読を通して幅広い活動をされているボランティア団体です。
中途の視覚障がいをお持ちの武村さんは、以前から歌舞伎のファンで、劇場の音声ガイドに慣れ親しんでいました。そんな武村さんは、「映画の場面の説明もイヤホンで聴けたら?」と思いつき、初代映画祭代表の武重邦夫に問い合わせの電話をしました。
こうして、映画祭のなんでもやってみよう精神と「さんざし」とのめぐり合わせで、手探りの上映会企画が始まりました。 初期は「さんざし」と、映画祭の二人三脚で、日本映画の副音声台本づくり。 目の見えない方に伝える音声ガイド台本を作ることは試行錯誤の連続でした。
3年目にして、初の外国映画『ライフ・イズ・ビューティフル』に挑戦。
日本映画は、台本のト書きを参考に場面説明を付ける音声ガイド台本を作っていきますが、外国映画の音声ガイドづくりは少し複雑です。日本語の台本がないのでト書きもありません。翻訳された日本語字幕テキストから台詞を起こし、場面説明の指針になるト書きがないところから音声ガイド台本を作ります。さらに外国語の台詞に日本語の台詞をのせる日本語吹替のアフレコ作業も加わります。
7年目の韓国映画『猟奇的な彼女』では、日本語吹替のために声優さんを募集したこともありました。
武村さん曰く、言葉はわからなくても、外国の俳優さんの音声も残して吹き替えをのせることに、外国映画のバリアフリー上映の魅力があるとか…。

漫画で描く 「しんゆりバリアフリーシアター」のはじまり

「さんざし」武村さんのお電話がきっかけに始まった、バリアフリーシアター。でも、どうつくるの? 

フィルム上映をしているシネコンが映画祭会場だった当時は、通常上映の邪魔にならぬように朗読ブースをつくり、ぶっつけ本番の生放送の副音声イヤホンガイド付き上映でした!当時のエピソードを漫画でご紹介!(漫画:ボランティア K)

年表 「しんゆりバリアフリーシアター」のあゆみ

1997年から2017年までの映画祭での上映作品を年表にまとめました

バリアフリー日本語字幕付き上映のあゆみ

聴覚障がい者の方は字幕のついている洋画を楽しんでいらっしゃるけれど、字幕のついていない日本映画を見る機会が少ないと知り、日本映画に日本語字幕を付けるサービスをはじめました。スタッフが台詞を聞き取り、それを字幕に起こし、OHPで投影するという、とてもアナログなものでした。

2000年 沖縄を舞台にした『ナビィの恋』でスタート。沖縄弁を文字情報にしたことは健聴者の方からもご好評を得ました。
2008年 川崎市アートセンターと共同でバリアフリー日本語字幕制作講座を開催。
講師は堀三郎さん(アテネ・フランセ文化センター制作室)、原田徹さん(映画美学校)。バリアフリー日本語字幕制作の基礎を学び、字幕テキスト制作に漕ぎ出しました。
2013年 今村彩子監督の『珈琲とエンピツ』の上映。要約筆記、手話通訳者を通じて今村監督トークイベントを行う。聴覚障がいについて学び、聴覚障がい者のカルチャーにも触れ、スタッフにも多くの気づきがありました。  
2015年 似内千晶監督の『物置のピアノ』の日本語字幕制作。
川崎市ろう者協会と川崎市中途失聴難聴者協会を通じて、5名のろう者と聴覚障がい者の方が、モニターとして参加してくださいました。
2017年 今村彩子監督の『Start Line』の上映。再び今村監督をお招きし、要約筆記、手話通訳付のトークイベントを開催。  

日ごろは どんな活動をしているの?

映画祭からスタートした市民ボランティアによるバリアフリー上映は、現在「しんゆりバリアフリーシアター」として、年間を通じて川崎市アートセンターで公開する作品にも活動の幅を広げています。
日ごろの活動の様子や最新情報を、ブログやSNSでたっぷりご紹介しています。ぜひご覧ください!

バリアフリーシアターの活動日誌(ブログ)

http://barrierfree-theater.sblo.jp/

副音声イヤホンガイド付き上映の台本制作、日本語吹き替えや副音声朗読の収録、録音編集など、日々の活動の様子を綴ったスタッフのブログ。

Twitter

https://twitter.com/shinyuribft1

日々の活動や上映情報をつぶやいています。
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写真で見るバリアフリーシアター

バリアフリー活動の模様を一部、写真で紹介します。

2003年写真

入場前にイヤホンを配布(2003年)

2004年写真

収録風景(2004年)

2005年写真①

受付(2005年)

2005年写真②

音声ブースで副音声を朗読(2005年)

2009年写真①

「音声ガイド制作体験講座」も開催(2009年)

2009年写真②

副音声収録(2009年)

昨年、「もっと多くの方にバリアフリー上映を知っていただきたい!」との思いで公開した「マンガで知る! バリアフリーシアター!!」も併せてどうぞ!→こちら(PDF)

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