男と女
ベッカムに恋して
レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ/過去のない男
未来世紀ブラジル
憎いあンちくしょう
蒲田行進曲

不朽の♪ダバダバダ♪

1966年/フランス/104分
監督・脚本・撮影:クロード・ルルーシュ
出演:アヌーク・エーメ、ジャン・ルイ・トランティニヤン
★本作品はDVD上映です。(協力:ワーナー・ホームビデオ)

出逢いは、週末、ドービル海岸の寄宿学校で子供に面会した帰りだった。電車に乗り遅れたアンヌをジャンは車でパリまで送る事になった。共に最愛の人を突然失った過去を引きずっている。アンヌの美しさに惹かれるジャン。翌週、2人はジャンの車でドービル海岸へ向かう。子供達と4人で過ごす幸せなひと時にアンヌの気持も揺れ動く。
別れ際、ジャンは電話を掛けることを約束し、翌日、モンテカルロラリーに出場する。ときめくアンヌ。

古いドーナツ盤のレコード。ジャケットは抱き合う男の頭と眉間に皴を寄せる中年の女性の顔。この映画を象徴する場面が切り取られている。10代で観た印象は、重くて想像の域を超えた大人の恋愛。電子オルガンと男女のスキャットが奏でる有名なメインテーマが2人のためらいを語る。今回ビデオで観てみると、何回も出てくる車のシーンが面白かった。車を走らせるごとに、惹かれあい、高まっていく2人の緊張感…。(滝沢)

 

夢を追いかける!


2002年/英/112分
監督:グリンダ・チャーダ
出演:パーミンダ・ナーグラ、キーラ・ナイトレイ、
ジョナサン・リース・マイヤーズ、アヌパム・カー、アーチー・パンジャビ
◆2002年ロカルノ国際映画祭観客賞受賞 



インド系イギリス人のジェスはサッカーが大好きで、ベッカムと一緒にプレーすることを夢見ている。ある日、女子サッカーチームのジュールズに誘われて練習に参加したジェスは、コーチのジョーにも見込まれ、チームの一員に。ところが、インドの伝統を重んじるパパとママは「女の子がサッカーなんて!」と大反対。おまけにジェスのせいで姉の結婚が破談に…。果たしてジェスはサッカーを続けることができるのか!?はたまたベッカムに会えるのか!?

<注:これはベッカムの映画ではありません>
サッカーが男の子だけのモノだなんて誰が決めたの!?女の子だってサッカーをやりたいのだ!夢をあきらめない女の子たちの姿は、男の子に負けないくらいカッコイイ!ジェスの立つフィールドには敵がいっぱいだ。性別、人種、家族…次々と現れる敵をドリブルで、パスで抜いてゆく。ゴールは目の前!ジェスは家族や友だち、みんなの夢を胸に走り抜けて行く。

(坂田)

 

なにがなんでもカウリスマキ!


2002年/フィンランド/97分
監督:アキ・カウリスマキ
出演:マルッキイ・ペルトラ、カティ・オウティネン、アンニッキ・タハティ
◆2002年カンヌ国際映画祭グランプリ&主演女優賞W受賞

ヘルシンキ。どこからかやって来たひとりの男。公園で暴漢に襲われ、そのケガがもとで過去の記憶を無くしてしまう。ここはどこ、私は誰?…途方に暮れたところを近所の一家に助けられる。とりあえず、一家に混じって生活を再開する男。起きて、食事して、ご近所さんと会話して、寝て、の静かな生活。人食い犬ハンニバルを連れた横暴警備員に意地悪されながらも、温かい人々に助けられ、一人暮らしを始めた。畑を作り、拾ったジュークボックスでロックを流す。慎ましくも居心地のいい住み家に、友人も集まってくる。そして、恋もした。食料配給の場で出会った救世軍の女性、イルマだ。彼女の終業を待って会い、家まで送る。家に招き、手料理でもてなす。静かな、でもお互いに満たされた恋。…過去は思い出せないけど、とりあえず日々は充実していた。

家もない、お金もない、仕事も肩書きもない。何より、記憶がない。これ以上ないどん底に落ちた男が、とりあえず前を向き、地に足をつけて生活を始める。小さな親切に助けられ、趣味を楽しみ、好きな人と一緒にご飯を食べる。男が再び生きられたのは、周囲の助けがあったから?・・・確かにそうだ。でも、周囲の助けを呼んだのは男自身だ。悩んでも仕方ない、前向きに生きよう、と決心し実践する人間に、周囲は自然と手を差し伸べたくなるものだ。記憶が消えたと悩む男に、彼を拾った一家の主人が言う─「人生は後ろには進まない」。そう、将来を心配したり、過去を悔いる暇があったら、とりあえず前を向いて日々を生きてみよう。もちろん、ユーモアを忘れずに。・・・観終わった後、じわじわと幸福感に包まれる映画です。
(山名)

 


1989年/フィンランド=スウェーデン/79分
監督:アキ・カウリスマキ
出演:マッティ・ぺロンパー、カリ・バーナネン、サッケ・ヤルベン


シベリアはツンドラ地帯で活動する音楽バンド、レニングラード・カウボーイズ。とんがりリーゼントにとんがりブーツ、サングラス、無表情の10人組だ。「こんなんじゃ売れないよ」とプロモーターにアメリカ修行を薦められ、一路ロックンロールの本場アメリカへ。しかし、イケてない格好で演奏はロシア民謡では売れるはずがない。かくして彼らはけなげに本を見て英語を勉強し、「ロックアンドロール」を練習し、横暴マネージャーの虐待に耐えながら、一攫千金を夢見て巡業の旅を続けるのだった…。

「なんでだー!」と突っ込むシーン満載のオフビートコメディ。カウリスマキは、早朝の渋谷で若者に「早く北海道に帰れ」と諭す人らしいです(来日時のエピソードをどこかで読みました)。「え?」と突っ込まずにいられないセリフ、沈黙の間で笑わせるあの感覚は天然に違いない。しんゆり映画祭では毎年、プログラム選定で「カウリスマキ映画をかけるか否か」で議論が繰り返されていた。「この面白さがなぜ理解できないの!?」「うーん。笑いがマニア向けだよ」「そんなことないよー!」「私達が面白くても…会場でシーン、だったらどうするのー?」「なるわけないじゃん!」・・・苦節約5年。ついにカンヌ映画祭グランプリを獲り、初期の作品も公開され、豪華DVDセットも出た。そして癒しブーム・・・そう、今、時代はカウリスマキ!ということで、満を持しての登場です。ヘンテコバンドのぶっとびロケンローを、大スクリーン・大音響でどうぞ!
(山名)

 

なぜブラジル?

1985年/英=米/142分
監督:脚本:テリー・ギリアム
出演:ジョナサン・プライス、ロバート・デ・ニーロ
★イベントつき

天才テリー・ギリアム監督がハリウッドと最終編集で揉めに揉め、守り抜いたとっても貴重な142分のディレクターズカット。

1985年製作。 究極の管理社会を風刺した天才テリー・ギリアム監督の悪夢的イマジネーション作品の最高傑作『未来世紀ブラジル』(原題は『Brazil』)。コンピュータと官僚的組織によって完全に管理された国。ある日、役人が叩き潰したハエによるタイプミスで、反政府組織の一員タトルの代わりに善良な靴職人バトルが誤認逮捕される。組織はこのミスのもみ消しに奔走するが…。作品が公開されて18年。哀しい現代社会かな…まだまだとっても新鮮です!!!

モンティ・パイソンをこよなく愛する人、『Brazil』の悪夢からまだ解放されない人、『ロスト・イン・ラ・マンチャ』の闘う映画監督テリー・ギリアムに涙した人、そして、『未来世紀ブラジル』をまだ観ていないという"しあわせ"な人、10月10日(金)18:30(上映開始)"KAWASAKIしんゆり映画祭"に全員集合です!!!
(大西)

 

わくわくスタアの時代

1962年/日本/106分
監督:蔵原惟繕
出演:石原裕次郎、浅丘ルリ子、芦川いずみ

タレント作家の北大作とマネージャーの典子は、肉体関係はもちろんキスもしてはいけないという純愛を目指した厳しいルールを守り続け、倦怠期に陥っているカップルである。ある日大作は手紙のやり取りだけで純愛を育んでいる女に出会う。女は医師の彼氏の住む熊本の山村までおんぼろジープを運んでくれる人を募っていた。純愛に疑問を抱く大作は運転手を買ってでる。全ての仕事をすっぽかし熊本へ爆走する大作。典子は阻止するべくジャガーで追いかけることに。果たして二人の愛のカーチェイスの先に純愛はあるのか……。

石原裕次郎のバックショットから始まるこの映画、今見てもかっこいいショットがふんだんに盛込まれている。無論、裕ちゃんのスター映画である限り彼のショットが多いのだけれど、数々の名車と共にどんどん加速する展開は決して観客を飽きさせない。純愛について真正面から向かっていって、答えまで出してしまう、愛って意外と単純なことかも、そんな思いになるパワフルな作品。
(田口)

 

わくわくスタアの時代


1982年/日本/109分
監督:深作欣二
出演:松坂慶子、風間杜夫、平田満、清川虹子、蟹江敬三、原田大二郎
★トーク 平田満氏

「おい、あいつのアップ多くねぇか?これは誰の映画なんだ?ぁあ?」ケチで見栄っ張りで女にだらしないけど、銀四郎はバリバリのスターである。「もちろん銀ちゃんの映画っす!」大部屋俳優のヤスにとって銀ちゃんは憧れだ。殴られるのなんて朝飯前。銀ちゃんのためなら死んだっていい!そんなある日、銀四郎が妊娠した小夏を連れてヤスの部屋にやってきた。「ヤス、今日からこいつと所帯をもて!」さぁさぁ、複雑怪奇な愛の三角関係の始まり始まり!

イタイ。イタタタタ。なんて痛い愛なんだ。愛してるくせに小夏をヤスに押しつける銀四郎、泣く泣く銀ちゃんと別れてヤスを愛そうとする小夏、大好きな銀ちゃんのために小夏を愛そうとするヤス。バカだ、この人たち。愛せば愛すほど相手を傷つけ、傷つけることでしか愛せない、そんな3人の愛は痛くて苦しくてバカみたいで涙が出る。そして「階段落ち」のデカすぎる階段。なんでそんなにデカいか。バカだ、バカすぎる。嗚呼、愛すべき映画バカたちに乾杯!(坂田)