2002年/フランス/134分
製作:ジャック・ぺラン
監督:サミラ・マフマルバフ、クロード・ルルーシュ、ユーセフ・シャヒーン、ダニス・タノヴィッチ
イドリッサ・ウエドラオゴ、ケン・ローチ、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、アモス・ギタイ、
ミラ・ナイール、ショーン・ペン、今村昌平


2002年ヴェネツィア国際映画祭出品作品

◆トーク◆ 今村昌平監督、天願大介氏、倍賞美津子氏、田口トモロヲ氏


本作は、2001年9月11日に起こった同時多発テロ事件を受け、
国籍の違う11人の監督
がそれぞれの感覚で撮った「9.11」である。

<クロード・ルルーシュ編>
ニューヨークに住む、耳の不自由な女性と、その恋人である難聴者専門のツアーガイドの男。
2001年9月11日。女はベッドで、男はソファで目覚める。昨夜、ケンカをしてしまったふたり。
男は黙って仕事に出かける。行く先は世界貿易センタービルだった…


<イドリッサ・ウエドラオゴ編>
病気の母親の薬代を稼ぐため、学校を休んで新聞を売る少年。ふと見ると、新聞に載っている男が。
「ビン・ラディン!」少年は仲間を集め、報奨金目当てにビン・ラディン捕獲作戦に挑むのだが


<今村昌平編「おとなしい日本人」>
第二次世界大戦の戦場から戻った復員兵の勇吉。人間でいることをやめてしまった勇吉は、ヘビになってしまう。
村の家畜を襲い人々から嫌われ、家族からも疎まれるようになり、勇吉は家を出て行く。勇吉の向かう先は


11本の作品を見ていると、宗教や貧困など、改めてそれぞれの国の背負っているものの違いに気づかされる。
あの事件から何を受け止め、何を感じたのか。
メキシコのアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの作品には胸を突かれた。私が決して感じることはないであろうモノがそこにはあった。また、世界で何が起ころうと、いつもと全く変わらない日常があるのも事実。陽は昇り沈むし、お腹は減るし、眠くなるし、恋もするのだ。

ある老人の日常を描いたショーン・ペンの作品はなんとも皮肉である。彼自身がアメリカ人であるということもまた皮肉である。
そして、異色を放つのが今村昌平監督の作品。「9.11」を連想させるモノはひとつも出てこないのだが、
メッセージはとてもストレートである。早いもので、あれから2年。だが、事件は未だ終わっていな
い。
(坂田)


今村昌平監督作品「おとなしい日本人」の紹介&今村監督へのインタビューページがあります