●保育つき

  


 社交ダンス界の若きヒーロー・スコットは、選手権地区
大会でダンス連盟の規定を無視して自分の考えたステップ
で踊ってしまい優勝を逃す。その身勝手さにパートナーは
去り、社交ダンスのインストラクターでもある母には叱責
される。最大の大会・パンパシフィックグランプリまでに
新しいパートナーを探そうとあせる彼に、スペイン系で暗
い顔をした、初心者のフランが「私と組んで!そして新し
いステップを踊るのよ」と迫る。
 歌と踊りは何でも大好き。だからこの映画もタイトルだ
けで安心しきって公開当時観ました。オープニングから様
々な曲に乗ってテンポよく展開されるこの映画は、まさに
社交ダンスの世界を丸ごと見せてくれます。ダンス界の古
い体質。反抗する血気盛んな若者。物語はとてもシンプル
だけど、力強いダンスシーンであっという間に94分が過
ぎて、後に「ロミオ&ジュリエット」「ムーランルージュ」
を監督するバズ・ラーマンのリズム感あふれる演出の原点
がここにあるような気がします。とにかくダンス・ダンス
・ダンス!ダンスを堪能してください。     (中村)

92年/豪/94分
監督:バズ・ラーマン
出演:ポール・マーキュリオ、タラ・モーリス
   ビル・ハンター

Story
チャンピオン候補のスコットは周囲の猛反対を押し切
り、スペイン系移民の娘フランと新しいステップで社
交ダンスの大会に出場する。華麗なダンスの連続に目
が釘付け! 鬼才バズ・ラーマン初期の傑作。

 



   ●保育つき

  

       トークゲスト
       ジェーン・ミルズ氏 パトリック・クローガン氏 
       レオニー・ボクステル氏(豪日交流基金本部事務局長)
       阿部嘉治氏

「お母さんに会いたい」。どんな境遇に陥ってもその想い
だけを抱いていた、先住民アボリジニの幼い少女3人。目
の前で子供を連れ去られ絶望感に陥っても、「娘達と会え
ること」を信じて止まない母親。その想いは1本のフェン
スで繋がっていた。幼い少女達は、「お母さんと会う」こ
とだけを信じ、1500マイル(2400キロ)の距離を
様ような困難に立ち向かいながら歩き続けた。1931年
の西オーストラリアには「ウサギよけフェンス」、という
牧畜の被害を防ぐために政府が設置したフェンスがあった。
遠く離れ離れになった母と娘はそれぞれを想い、そのフェ
ンスを見つめ、握っていた。距離など関係なかった。お互
いを想う気持ちこそがそのフェンスを辿り、力になる。
この映画には派手なアクションや展開もない。多くを語ら
ず、派手に動き回ることもない。しかし、実際に自分と相
手を想い信じている時は、思いがけないほど冷静なもので
ある。この映画を観終えた時、きっと誰かを想い信じ、会
いに行きたくなる。             (塩野目)

2002年/豪/94分
監督:フィリップ・ノイス
出演:エヴァーリン・サンピ、ローラ・モナガン
    ディアナ・サンズベリー、ケネス・ブラナー
◆ナショナル・ボード・オブ・レビュー
            最優秀監督賞ほか受賞

Story
1931年、オーストラリア。アボリジニ保護局によって
収容所に連れさられたモリーたちは、母親の元へ帰るた
め歩き始める…。白人によって行われた先住民の隔離同
化政策。その知られざる真実の物語。