しんゆり名画座〜再生

バリアフリー上映

視覚障害者の方へ:

下記、2作品をイヤホーン・ガイド(日本語吹き替えと副音声付き)で上映します(30台)。ご希望の方は、9月末までに事務局にお申し込みください。詳しくは「保育&バリアフリー」をご覧ください。
なお、『江分利満氏の優雅な生活』に日本語字幕はついておりませんのでご了承ください。


運動靴と赤い金魚


1997年/イラン/88分
監督/マジッド・マジディ
出演/ミル=ファロク・ハシェミアン、バハレ・セッデキ
1997年 モントリオール国際映画祭グランプリ受賞

STORY

妹ザーラのたった一足しかない靴をなくしてしまったお兄ちゃんのアリ。家は貧しく親にもうち明けられません。しかたなくアリの靴を二人で使います。時間差で学校へ行く二人は、通学路でそれぞれの靴とサンダルを交換するのですが、いつもいつも走らなければなりません。それでもアリは遅刻の毎日。先生には怒られまくりです。そんな折、開かれるマラソン大会。3等の商品はなんと運動靴!これはチャンス。妹のために、アリは走る走る。がんばれお兄ちゃん!!

COMMENT

イランは検閲のある国です。子供を描く作品が多いのはそのせいだといわれています。でも、アリとザーラには当然そんなこと関係ありません。泣いたり笑ったり途方に暮れたり…毎日毎日大忙しです。兄妹は純粋で心優しく一生懸命なんです。まいりました(ウルウル)。ほとんどが素人というメインキャストの表情、イランの日常、街並み、そしてラストの赤い金魚。どれをとっても新鮮で生き生きと輝く、愛すべき名作です。ほんっと、いぃ!

江分利満氏の優雅な生活

1963年/日本/103分
監督/岡本喜八
出演/小林桂樹、新珠三千代、江原達怡

STORY

主人公は江分利満=エブリマン=普通の人…である。36歳、大手企業の宣伝部勤務、月給3万6千円(1963年のお話)。妻と息子と年老いた父と4人で社宅に暮らす。デブッチョで、不恰好、お酒が好きで、飲むと人に絡む。でも、こんな江分利満氏にも彼なりの一本筋の通ったモラルがある。「カッコイイのは恥ずかしい」。“才能のないだらしない奴が一生懸命生きること”の大変さを江分利満氏は自分を曝け出して、教えてくれる。

COMMENT

江分利満氏は本当にダサい。でも、この映画は最高にカッコイイ。切れ味鋭いユーモア、アクション映画並の細かいカット割り、おしゃれでコミカルなアニメーション、タイミング抜群のナレーション、そして、小林桂樹さんの映画史上に残る名演。原作は山口瞳さんの第48回直木賞受賞作。40・50代の方たちには非常に懐かしい作品であると思うが、私は岡本喜八監督の1963年のこの斬新な作品を10・20代の人たちに観て、感じてほしい。