プログラムが決まるまで〜アジアン★ニューウェーブ〜New!
スタッフ企画「勝手にベスト3!」
満開の桜の下、土屋統吾郎監督逝く
やったぜ!「しんゆりッ子」たち
左脳休憩映画を探せ!



プログラムが決まるまで 〜アジアン★ニューウェーブ〜

しんゆり映画祭のプログラムをほめてくださる人がたくさんいます。毎年なにが上映されるのか、楽しみにしてくださる方もいます。この自慢のプログラムも、白鳥実行委員長を先頭に、市民ボランティアスタッフで決めているんです。今回は、「アジアン★ニューウェーブ」枠のプログラムが決まるまでの道のりをレポートします。

 今年、「ヤング」枠のプログラム選考スタッフとして集まったメンバーは、選考に関わるのが初めての者ばかり。出だしから「日本を含むアジアの若手監督を応援!というコンセプトだけど、若手って、監督の年が若いこと?監督としてのキャリアが短いこと?う〜ん。考えすぎるからいけないのかなぁ…」としばし悩む。結局「ヤング」という名で、年令層の高い人たちに敬遠されないよう「アジアン★ニューウェーブ」と改名。とにかく映画を観なければいけない。しかし、これが難しい。上映中の映画をチェックし、試写情報・サンプルビデオを手に入れ、劇場や試写会へ足を運ぶ。実際に観た映画は約15本。揃って試写会に行き「…」となった映画や、一人で家でビデオを観てなんか妙に先行き不安になった映画、スタッフの意見が分かれた映画などさまざまだった。

 そんななか、最初に決まったのが『ユリイカ』。今年の映画祭のテーマ「再生」にもぴったりで、青山監督の才能が画面の端々から伝わってくる。この上映にはぜひ監督を呼ぼう!ということになり、「役所さんも来てくれたら嬉しいけど…」と言ってみる。と、なんと2人とも来てくださることに!思わず鳥肌が立つ。そして、次に決まったのが『非・バランス』。みんなで観て、劇場を出たところで顔を見合わせ、ただただうなずいた。2人は泣いたと言う。何たって菊ちゃんがいい!オカマさんにすっかり魅せられた僕たちは、じゃあオカマつながりで『アタック・ナンバーハーフ』だ!オカマさんを呼んで「オカマトーク」だぁ!と勢いづいたのだが、時間の都合で実現せず。ちょっと残念…。

 この映画祭の魅力の一つは「低料金2本立て」だが、その組み合わせは重要である。カルボナーラの後に水ようかんはやっぱり合わない。とにかくそれなりの企画が必要だ。そこで最後まで苦労したのが『Stereo Future』と組み合わせる作品である。『Stereo〜』は、映像のきれいさと、登場人物の面白さで早い時期に決まっていたが、もう一つが決まらない…。

 責任の重さや、ボランティアスタッフというスタンスの必然的なあいまいさや、時間的制約など、これまでの経過でいっぱいいっぱいだった僕らは、なおも試写会に行き、ビデオ試写をした。こうしてやっと出会えた映画が『あしたは きっと…』だ。2作品とも、未来(あした、Future)を選択するという企画。知恵をしぼった甲斐あって、なかなかだと思うのはひいき目だろうか?

 劇場公開と映画祭の時期が重なるため泣く泣くあきらめた作品もたくさんあった。そんな映画たちが公開された暁にはきっと劇場に足を運びたい。それが才能ある若手監督たちを支えていくことになるのだと思う。ほんとはただ面白いから観たいだけなのだけれども。


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スタッフ企画「勝手にベスト3!」

毎日暑くて脳のおみそが溶けてきそうですね。そーゆー時は、クーラーのきいた部屋でビデオを見るのが一番!
というわけで、徐々に活動も活発になってきたしんゆり映画祭のスタッフから、勝手になんでもランキングベスト3をお届けしましょ。

「ちょっとズレた人々が最高」なコメディ映画ベスト3
1.『ギャラクシー・クエスト』 「スター・トレック」のようなSFドラマをこよなく愛すオタク達とドラマの俳優達が繰り広げる「夢を信じるってスバラシイ!(目がキラキラ★)」な映画。コメディだけど、子供の頃の夢の世界を未だ抱えるオトナほど泣けるそうです。私は号泣しました(なんでだー)
2.『ドッグ・ショウ!』  モキュメンタリー(擬似ドキュメンタリー)の祖・C.ゲスト氏が描く、ドッグショウで繰り広げられる人間ドラマ。何かにハマっちゃって夢中になっている人々ってハタから見ると滑稽だけど、この映画はまさに我が愛犬をドッグショウで優勝させようと必死になる、親バカな人間達を延々描いていて笑えます(そして「自分も気をつけよう」と、ふと襟を正してしまう。思うところいろいろ…)
3.『コントラクト・キラー』 昔の映画ですが…自殺に何度も失敗した男が、殺し屋に自分を殺してくれるよう依頼。が、依頼した帰りに女性に恋してしまい、やっぱり生きようとするが、依頼を取り消せず、殺し屋から逃げ回るハメに…という導入部だけで「ツカミはOK」でしょう!セリフも音楽も少なく、登場人物はほとんど表情を見せない。なのに笑える…「沈黙の間」を自在に操り、笑わせるアキ・カウリスマキの真骨頂です。


★わたしが若い時、これを観てお馬鹿にもいわゆるなりきってしまった映画ベスト3
1.「仁義なき戦いシリーズ」   ご存知深作欣二監督の傑作シリーズ。
新宿の武蔵野館を出る頃にはすっかりみんな文太あにいになってしまう恐ろしい映画。恥ずかしながら小生もそのうちの一人。
2.「松田優作の遊戯シリーズほか松田優作もの」 『処刑遊戯』 『蘇る金狼』 『野獣死すべし』 『最も危険な遊戯』 ぼさぼさパーマにサングラス、愛すべきワルを存在感たっぷりに演じた松田優作の魅力が画面いっぱいに展開。上映後、しばらくはグラサンかけて歩いてました。優作モードが抜けなくて・・・・。(ハ、恥ずかしい)
3.「燃えよドラゴンはじめブルース・リーもの」 やっぱりでました。ブルース・リーもの。我々の世代の男は当然そうでしょう。僕も中学の時、ヌンチャク買って学校でみんなでブンブン振り回してましたし、「アチョー!」ってやってましたね、毎日。お馬鹿ですねぇ。


★わたしのメロメロ映画ベスト3
1.『バタアシ金魚』 最後の筒井さんの一言にメロメロです。
2.『きらきらひかる』 筒井さんのキスシーンのなかでも一番濃いんです。トヨエツとの美しきキスシーン
3.『洗濯機は俺に任せろ』 ステキな指で洗濯機もバツイチ女性も治すんです。メロメロです。


★わたしだって「こんな女になってみたい」映画ベスト3
1.『哀しみのトリスターナ』 カトリーヌ・ドヌーブがきれいすぎて、壮絶。片足を切断されて、松葉杖をコツコツ響かせながら、それでもその美しさで、男を支配するのだ。
2.『恋人までのディスタンス』 ジュリー・デルビーがとってもいい。恋をする前のときめきや、若さや、純粋さがあって、あーあぁ。もいっかいこういうお年頃にもどりたいなぁ…(溜息)、という映画。
3.『花様年華』 こんなにチャイナドレスが似合って、こんなにうなじがきれいで、こんなに足が長くて、こんなに抑制的で、だれが見てもキレイな人になってみたかった。


★音楽が好きな映画ベスト3
1.『ザ・コミットメンツ』 歌うシーン、ストーリー、何もかもがすごく感動的だし、妙な後味のラストも心に残っています。
2.『ベストフレンズウェディング』 レストランで皆が歌うシーン、大好きです。幸せになる。
3.『普通じゃない』 サントラが好き。映画も主演二人が可愛くて好き。



コメントは書ききれませんでしたが、その他たくさんのベスト3!
★ほのぼのアジア映画ベスト3 1.『美術館の隣の動物園』 2.『リトル・チュン』 3.『スパイシー・ラブスープ』
★笑いながら泣く映画ベスト3 1.『三文役者』 2.『顔』 3.『リトルダンサー』
★心えぐられる映画ベスト3 1.『フリークス』 2.『袋小路』 3.『四月の魚』
★映画の中の男の中の男 ベスト3 1.『江分利満氏の優雅な生活』の江分利満 2.『フィツカラルド』のフィツカラルド 3.『ミニー&モスコウィッツ』のモスコウィッツ
★住んでみたい部屋が出てくる映画ベスト3 1.『時計仕掛けのオレンジ』 2.『ゴースト』 3.『ワンダフルライフ』
★おちゃめな映画ベスト3 1.『ウォレスとグルミット、危機一髪』 2.『ラブ・ゴーゴー』 3.『シューティングフィッシュ』 次点『アタックナンバーハーフ』
★ハマった恋愛物ベスト3 1.『忘れられない人』 2.『つきせぬ想い』 3.『ワンダーランド駅で』
★夏に泣けるホラー3本 『エクソシスト』(オリジナル版) 『ヘルハウス』 『オードリーローズ』


〜 他にもたくさん声があがったけれど、きりがないのでこのへんで。 えんど 〜




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満開の桜の下、土屋統吾郎監督逝く
3月24日午後12時9分、映画監督の土屋統吾郎監督が逝去されました。
まだ65歳の働き盛り、活動屋魂を持った監督さんだっただけに残念です。
映画を愛し、映画作りに邁進した土屋監督のご冥福を心よりお祈り致します。
3月25日の午前9時、岐阜県瑞浪市の高嶋芳男市長から電話が掛かって来た。
統吾郎さんが亡くなったらしいが、状況はどうなっているかという問いかけだった。
土屋監督が亡くなったって? 僕は驚いて聞き直した。 大体、僕の知っている土屋さん は元気の塊のような人で、 死ぬなどというイメージとは程遠い存在だった。
それに、僕が監督にお会いしたのは6年前で、たった一度だけである。
狐につままれたような気持ちでいると、追いかけるようにオフィス三井の代表・三井りつ子さんから電話が入り、 本当に土屋監督が亡くなられたと知った。
「それで、 瑞浪関係の連絡は武重さんにお願いしたいんですけど」 三井さんは早口で通夜や告別式の日取りを伝え始めた。 僕は慌ててメモを取りながら、ふと、監督の故郷の瑞浪市での知人は高嶋市長しか居ないことに気づいた。
「ちょっと待って下さい。 僕は名古屋の人間だし、土屋さんとは一度しか会って居ない。誰かの間違いじゃないないの・・・」 「ええっ、 一度しか会っていないの?」
今度は三井さんが信じられないという声を挙げた。 一体どうなっているのかと訝っていると、彼女は意外なことを話してくれた。 土屋さんは、 彼女に会う度に僕のことを百年の知己のように話してたと言うのだ。 だから、 彼女は僕を監督の同郷人だと信じ込んでいたのだ。 「そう・・土屋さんてそういう人なのよ。 気に入った人は一度会っただけでも・・」
三井さんは電話の向こうで声を詰まらせた。 そして僕も、 もぬけの殻になった様に受話器を握り締めていた。

僕が土屋さんとお会いしたのは6年前、 それもたった一度でしかない。
しかし、土屋さんの名前を知ったのは実に40年も前の1960年頃であった。
当時、 早稲田の学生だった僕は名古屋出身ということもあり、近郊の瑞浪市から来た友人たちとの付き合いが多かった。 中でも親しかったのが、前述した市長の高嶋君と土屋家の菩提寺である大通寺の高橋基丈君で、 二人から郷土出身の映画監督として土屋 さんの話を聞かされていたのである。
彼らは土屋監督のことを土屋統吾郎と誇らしげに語り、或るときは統吾郎さんと親しげ に呼んでいた。 僕は、そんな彼らを羨ましく思ったことを今でも覚えている。
今、 改めて映画人名鑑で調べてみると、 土屋さんが明治大学を出て新東宝に入社されたのが58年だからまだ監督ではなく助監督の時代である。
それから35年間、僕は彼らに会う度に土屋さんの名に接し、まだ一度もご本人に会った事が無いのに土屋統吾郎の名前に慣れ切ってしまっていたのである。
もう一つ不思議なことがある。 1964年、 大学を出てから僕は国際放映に入り1年 ばかり助監督をやっていたのだが、 一度も土屋さんにお会いしてないことである。
当時の国際放映は倒産した新東宝のスタッフで成り立っていた会社で、28歳の土屋 さんは監督かチーフ助監督になっていたはずである。 だとすれば、 僕が友人の先輩を訪ねてしかるべきなのだが不思議なことにそれも記憶にない。
もしかしたら、 東宝への移籍組に入っておられたのだろうか。

土屋さんは沢山のTV映画を撮られているので、 無論、 お名前や作品には接していたが人物像については皆目見当が付かなかった。 その一端に触れたのは10年程前、監督の佐藤武光さんと雑談していたときのことだった。 聞けば、 佐藤さんが助監督として最初に付いたのが土屋組だったという。
「いや、 土屋組は豪快でしたね。撮影が終わるとみんな一升瓶抱えて監督を囲んで酒盛りの毎日でね。土屋さんは酒は強いし腕も立つ、なにしろ明治大学の空手部のキャプテンだった人だからおっかなかったですよ」
ある晩の酒盛りの最中、 酔っ払った勢いで佐藤さんがテーブルに腰掛けた時だった。
「お前、 どこに座ってるんだ!」土屋監督が叫んだ瞬間、佐藤さんはパンチを食らって5メートル吹っ飛んだというのだ。 映画祭のジュニアワークショップで指導監督をし てくれた佐藤さんはご存じのように100キロを越える巨漢である。
武闘派に目されるあの巨漢監督が宙を舞う姿を想像すると、 どう考えても土屋監督はプロレスラー並のどう猛な巨漢に違いない。
「土屋さんて、そんな獰猛な人なんですか」「いや、 男らしい正義感の強い監督ですね」 それから一呼吸置いて、 「いい人ですよ・・・」 と佐藤さんは呟いた。

1995年7月5日、 大通寺の和尚こと高橋基丈君の連絡を受けて僕は瑞浪の市長選 の応援演説に行った。 およそ政治などには縁がないと思っていた高嶋芳男君が、 沈滞 しきった瑞浪市を憂う人達に推されて市長選に立候補したからである。
市長選も4日を残すばかりの蒸し暑い日の夕刻、 大通寺の本堂から境内は300名の 市民で埋まり革命前夜のような雰囲気に包まれていた。
「それじゃ、 統吾郎君が最初に話し、 続いて武重が話してくれ」 司会を務めていた和尚が戻ってくると、 僕と前に座っている初老の紳士に段取りを説明し始めた。

「統吾郎さんて・・・? 土屋監督ですか・・」 僕は慌てて居住まいを正し前の紳士を見た。
「土屋です、 武重さんのことは和尚からいつも話を伺ってましたよ」
土屋さんはぴたりと正座し、丁寧に頭を下げて名乗った。
「始めまして武重です・・・」 僕は動転して、ひたすら畳に頭を擦りつけ続けた。
なんて言うことだ。 巨漢をぶっ飛ばした空手部のキャプテンは獰猛どころか、 僕より小柄でしかも立派な紳士ではないか。 僕は不法にも心の中で佐藤さんを逆恨みした。
その晩、 土屋さんと和尚と3人で2時間ばかり酒を酌み交わした。
土屋さんは酒も強いが話しも面白い人で、佐藤武光さんが惚れるのも当然だと思えた。
お互いに活動屋なので話題は自然に映画の方に流れて行く。 当時、僕は川崎市から頼まれて「しんゆり映画祭」の開催準備を進めていたので、 土屋さんに構想を打ち明け意見を求めた。 「そりゃ良いことだなあ。 何と言っても映画は大衆が求める文化だから、映画人の為の映画祭にしてはいけない。 観客と波長を合わせる映画祭でなきゃね」
土屋さんは僕の市民映画祭に賛成し、 何度も乾杯を繰り返して激励してくれた。
帰りがけに土屋さんは僕に握手を求め、「映画は良いね。でも、新東宝は潰れたからね」 と小さく笑いながら境内の闇に消えて行った。 土屋さんとの最初で最後の出会いだった。

3月29日、 僕は小雨の降る中を告別式の行われる代々幡斎場へ行った。
土屋さんの家はこの斎場の近くにあり、 僕自身も10年近くこの近辺に住んで居た懐かしい場所だ。 今村昌平監督の家も近くにあり、 一時期、 今村プロもこの火葬場の塀に接した民家に仮住まいしていたことがあった。
告別式の会場に着くと三井りつ子さんが迎えてくれて、 高嶋市長のところへ案内してくれた。 親類縁者ともども瑞浪市から多くの人達が駆けつけたのだと聞いた。
告別式には雨にもかかわらず多くの人々が参列した。 新東宝の同僚や先輩後輩、TV局 のスタッフ、 友人仲間が駆けつけてきたのだろう、 最近では珍しい心の籠もった葬儀で嬉しかった。 これもひとえに土屋さんの人柄に帰するのだろう。
僕は三井さんに勧められ瑞浪側の席に座った。 松原師の読経に手を合わせながら、ふと考えた。 何故、 土屋さんはたった一度しか会ったことのない僕の事を、まるで昔から の友人のように三井さんに語ったのだろうか。
たった2時間の出会い、 しかも年下の馬の骨のような僕の事を何故覚えていたのか。
僕は6年前に会ったチリのような存在でしか無い筈だ。 たとえ1年くらいは記憶してても2年も経てば風化して当然ではないのか。 それとも、 僕は人間というものを理解していないのだろうか?
出棺に参列し、荼毘の寸前まで僕はまだその事について考え続けていた。
やがて荼毘のための鉄扉が開けられたとき、突然、僕の背後から誰かが「統吾郎!」と叫んだ。それはとてつもなく大きく、全身から絞り出された獣のような叫びだった。
その声を聞いた瞬間、 僕の中をぐるぐる周り続けていた疑問の泡は消え去った。
一期一会、 何も考えることは無いじゃないかと気が楽になった。

斎場を出ても雨は降り続いていた。
塀際に沿う桜並木は氷雨の中で満開を迎え白く光っている。
活動屋にふさわしく、土屋統吾郎監督は桜が散るように豪快に去って行った。
僕を土屋監督に引き合わせた大通寺の基丈和尚も先年他界しもう居ない。
「統吾郎さん、さようなら」 僕は斎場の煙突を見上げ、小声で別れを告げた。

平成13年3月30日 武重邦夫記。



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やったぜ!「しんゆりッ子」たち

「あんにょんキムチ」が文化庁優秀映画賞を受賞!
松江哲明監督のドキュメンタリー映画「あんにょんキムチ」が文化庁の平成12年度優秀映画賞に選ばれ、3月21日、ホテル・ニューオータニで受賞式が行われました。
「あんにょんキムチ」は一昨年のしんゆり映画祭の「しんゆりから生まれた映画たち」で初上映され、その後、日本各地で上映され続けてきた異色ドキュメンタリーです。
12年度の最優秀作品は坂本順二監督の「顔」でしたが、日本映画学校の卒業制作が日本映画のベストテンに選ばれたのは画期的な出来事と言えます。
これは、"学生の映画でも良い映画は積極的に上映する"という当映画祭のイデアが実証されただけでなく、 日本の文化行政がこうした学生作品にも目を向けたという意味での歴史的快挙ではないでしょうか。
日本の映画人は経済の衰退で作品作りが困難になっていますが、 こうしたケースが次 代を担う若い映画学生たちの勇気づけになればと祈る気持ちで一杯です。
松江監督、 受賞おめでとう。 映画祭スタッフは貴方の次回作を心待ちにしていますよ!


新藤風さんがベルリン映画祭で最優秀新人監督賞


「ナビイの恋」 で助監督をしていた"ふーちゃん"こと新藤風さんが、 第1回劇場用監督作品「ラブ・ジュース」でベルリン国際映画祭の最優秀新人監督賞を受賞しました。
風さんは高校を卒業すると日本映画学校に入学し、3年間、 しんゆりの街をカメラを持って駆けずり回った撮影ゼミの学生です。
学校に聞き合わせたところ、 風さんは松江哲明監督や 「青〜CHOUNG」 でPFFグランプリを受賞した李相日監督の1年先輩だそうです。
新藤風さんは映画一家の申し子。 お父さんが近代映画協会の新藤次郎プロデユーサーなら、 祖父は映画界の巨匠・新藤兼人監督、 映画の中から生まれて来たような女性です。 そうそう、 新藤兼人監督と「しんゆり映画祭」との深い深い 関係も忘れられません。
いまから6年前に始まった第1回映画祭の最大の目玉作品は「午後の遺言状」、我々は当時封切り真っ最中の新作映画をヘラルドエースの原正人社長にお願いして上映させて戴いたのです。 そして新藤兼人監督の素晴らしい基調講演と21ホールを超満員にした500余名の観客の熱気、そう、そこから「しんゆり映画祭」は出発したのです。
本当に人の出会い、 縁って不思議なものですね。
風さん、 映画祭女性スタッフ一同応援してますよ。 頑張ってください!



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左脳休憩映画を探せ!

街は人であふれかえり、仕事は忙しく、オフィスは無機質。
隣近所や親戚づきあいその他の人間関係はとかく厄介事が多い。
子育て・仕事(の両立)に苦労する親たちと、勉強することが多すぎて飽和状態の子供たち。
あらゆるメディアから情報があふれている一方、家庭内で家族の会話がないことも多い。
このように、現在の日本にはあまりにもストレスが多すぎる。
そんな状況では、一般的に「思考・論理・計算」を司るとされている、左脳がフル稼働しているはずだ。でも、一つの部分を使いすぎると、オーバーヒートする可能性はないか? 壊れてしまわないか?

そこで今回の企画です。
これをみたら、疲労している左脳が「ちょっと休憩入りまーす」と宣言できるであろう、と思われる映画を独断と偏見でピックアップしてみました。

「左脳休憩映画」の定義は、
・おばかだけど「愛い奴よのぉ」と思える
・理屈を考えずに「わー!」「きゃー!」とかいいつつ楽しめる
・ストーリーの矛盾・破綻があっても気にしない
・悩んでいたあなたも思わず明日への勇気がわくぐらい能天気
・とりあえず笑えるっす
・まあ楽しいからいいんじゃないの、 などなど
(定義になってないという説もある…)

ということで、ビデオ屋で普段みないラックもたまにチェックしてみて下さいませ。
(なお、諸事情によりこんなテキストオンリーの画面で申し訳ありません。年明け、ちょっと化粧なおしいたします…From:しんゆり映画祭市民スタッフ HP班 構成員A)


まずは映画祭スタッフのコメントつきイチオシ作品集から…
「不良番長シリーズ 口からでまかせ」(製作年 1970/製作国 日本)
「不良番長シリーズ やらずぶったくり」(製作年 1971/製作国 日本)

(映画祭スタッフHさんのコメント)
ああ、なんと馬鹿馬鹿しいタイトル、アンナちゃんの父さんの梅宮辰夫とお馬鹿な奴らが繰り広げる抱腹絶倒のナンセンス映画。さっきまでのエピソードはどこいったの?といいたくなるいい加減さと、うそ〜!と言いたくなる唯我独尊的展開にきっと皆さんの脳味噌はグニュ、グニュにされてしまうでしょう。でもこんな映画を一生懸命作っているスタッフのことをとてもいとおしく感じてしまうのはきっと私だけではないと思うのです。ビデオを見た翌日、劇中のあのお馬鹿な歌をおもわずくちずさんでいる自分に気づくでしょう!

「ドーベルマン」<原題:Dobermann>(製作年 1997/製作国 フランス)
(映画祭スタッフMさんのコメント)
何が正しく何が間違いなのか?疾走し続ける彼らにとって全く陳腐な質問だ。信じるのはドラッグと銃だけ。神をも冒涜する彼らをもう誰も止めることはできない。

「やかまし村の春夏秋冬」
<原題:>(製作年 1986/製作国 スウェーデン)
(映画祭スタッフKさんのコメント)
スウェーデンの小さな村に暮らす子供達の毎日。特にシャスティンという女の子が
キュート! 何度観ても幸せになれますよ。

そして、いろんなひとの一言から集めた作品集を…(配列はまったくアトランダムです)

「天使とデート」<原題:Date with an Angel>(製作年 1987/製作国 アメリカ)
エマニュエル・ベアールがともかくカワイイお気楽作品。ちなみにこの方、「美しき諍い女」という文芸もので全編ヌードでがんばってた人だよなぁ。俳優って、演じるって大変ね…。

「エバースマイル、ニュージャージー」<原題:Eversmile New Jersey>(製作年1989/製作国 イギリス=アルゼンチン)
なぜ歯科衛生の伝導? なぜパタゴニア? でもなんとなく見てるうちに「それもありかぁ」と思わせる、南米の田舎道をひたすらバイクで進むダニエル・デイ・ルイスの姿が、滑稽かつ凛々しい。

「イングリッシュマンinニューヨーク」<原題:Stars & Bars>(製作年 1987/製作国 イギリス=アメリカ)
なぜかニューヨークのイギリス人ということで(まんまやん)、マンハッタンの真ん中、ひたすらちぐはぐな英国人ぶりを発揮するダニエル・デイ・ルイスの姿が、もどかしくもいとおしい。

「花咲ける騎士道」<原題:Fanfan la tulipe>(製作年 1952/製作国 フランス)
当作品推薦者Wさんによると、原題の“Fanfan”が主演のジェラール・フィリップ様(の愛称だったと資料にありました)経由で、かの岡田真澄氏の愛称「ファンファン」になったとか。冒険活劇だそうです。

「恋愛日記」<原題:L’homme Qui Aimait les Femmes>(製作年 1977/製作国 フランス)
女の人の「脚」が好き。とっても好き。たまらなく好き。という「脚好き三段活用最上級」的男性が、ひたすら自らの欲求に従い続けるおはなしです。そうです、人生に躊躇は禁物なのだ!

「チャーリーズ・エンジェル」<原題:Charlie’s Angels>(製作年 2000/製作国 アメリカ)
きれいなおねいさんたちが、衣装をとっかえひっかえ、悪者たちを殴る蹴る。かっこいいーっ! スカッと&どかーんとストレス発散したいとき、要は「代償行為」的に効きます。(一応、銃反対映画です。)

「サボテン・ブラザーズ」<原題:Three Amigos!>(製作年 1986/製作国 アメリカ)
スティーブ・マーティン、マーティン・ショート、チェビー・チェイス、この三人が共演したという事実だけでも奇蹟(笑)でしょう。僕らコメディアンなのになんでメキシコでこうなるの、な展開がまたをかし。

「ブルース・ブラザース」<原題:The Blues Brothers>(製作年 1980/製作国 アメリカ)
何度見ても、心を鬼にして(笑)無理やりあの「ローハイド」を歌うジョン・ベルーシ&ダン・アイクロイドにはわらかされる。レイ・チャールズもクールだし。ああ、大スクリーンでみたいよぉぉぉ(エコー)。

「ロシュフォールの恋人たち」<原題:Les Demoiselles de Rochefort>(製作年1966/製作国 フランス)
群舞パートで、フランス的に微妙にずれてるところが、アメリカもの(きっちりそろえて!)ミュージカルに比べて何とも微笑ましい。何よりあの青空と独特な色調が、心に希望を呼び起こすこと間違いなし。

「世界中がアイ・ラブ・ユー」<原題:Everybody Says I Love You>(製作年1997/製作国 アメリカ)
ウディ・アレン、打って出たな(笑)。ミュージカルなので、セリフすなわち歌を意味します。そんなわけで、「歌っていいんでしょうか…?」な人も歌ってしまいました。人間、やれば出来るってことですね。

「天国から落ちた男」<原題:The Jerk>(製作年 1979/製作国 アメリカ)
おい、気付けよそんなこと、という基本的かつベタなギャグが満載。冒頭の「超リズム感なし演技」には、個人的ツボをつかれました。最近のスティーブ・マーティンしか知らない方には踏絵的作品か?

「ナーズの復讐/集結! 恐怖のオチコボレ軍団」<原題:Revenge of the Nerds>(製作年 1984/製作国 アメリカ)
くだらないです。って言うと実もふたもないのですが、ほんとにそうです。でも、バカバカしいことにバカバカしいほどの労力と知力(?)を費やす「ナーズ」をみてると、何だか生きる勇気がわいてきます。

「シックス・ストリング・サムライ」<原題:Six-string Samurai>(製作年 1998/製作国 アメリカ)
学園祭か?、な衣装。作り手は絶対カンフー映画ファン、と確信したアクションシーン。善玉対悪玉の「ギター合戦」と、その決着の「あっけなさ」。腰砕け度かなり高し。背景の荒涼とした感じがCool!

「チャイルズ・プレイ チャッキーの花嫁」
殺人人形「チャッキー」がなんと花嫁をもらう! そんな発想を作品にしてしまうアメリカって国の懐の深さ(というか何というか…)に感心。くれぐれもお人形は粗末に扱わないでね、よいこのみなさん。

「メリーに首ったけ」<原題:There’s Something about Mary>(製作年 1998/製作国 アメリカ)
原題のとおり、「何かあるんだよなぁ、あのコ」って具合に、トンデモな男たちがメリーに迫る。これって、主演がC・ディアスだから今の扱いになってるけど、俳優が違ってたら完璧「ビデオのみ」系じゃ…。

「奇人たちの晩餐会」(製作年 1998/製作国 フランス)
劇場公開時、スタッフYさんは、あまりの面白さに「ぐふぐふ」笑ってたそうです。そして近くの席の男性は途中で帰ってしまったそうです(笑)。エスプリききすぎでお手あげざんす、なフレンチ・コメディです。

その他、コメント書ききれなかったけどおすすめ物は…
「大英雄」(製作年 1993/製作国 香港(製作当時))
「オースティン・パワーズ」<原題:Austin Powers>(製作年 1997/製作国 アメリカ)
「トイ・ストーリー」<原題:Toy Story>(製作年 1995/製作国 アメリカ)
「鴛鴦歌合戦」(製作年 1939/製作国 日本)

〜21世紀、リラックスしてはじめましょー〜


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