インド映画傑作選

<インド映画の奇跡〜グル・ダット>


PYAASA
1957年/インド/35mm/B&W/スタンダード/145分
製作・監督:グル・ダット
脚本:アブラール・アルヴィー/撮影:V.K.ムールティ/音楽:S.D.バルマン
出演:グル・ダット、ワヒーダー・ラフマーン、マーラー・シンハ―




STORY

詩人のヴィジャイは、詩集を出して欲しいと出版社に出向くが、「失業や飢えの詩を誰が読むものか」と相手にされない不遇な日々を送っていた。唯一彼の詩を理解するのは、娼婦のグラ―ブだけだった。そんな彼女をよそに、金持ちの娘と恋におち甘い夢を見るが、貧しい失業者と結婚はできないと言われ彼女は他の男と結婚してしまう。失意と絶望の中、ヴィジャイは死んだという噂が流れ、物語は思わぬ方向に動きだす。

COMMENT
年間製作本数800本以上というのに、インド映画を観たことがない。『ムトゥ踊るマハラジャ』の予告編を観てぶっとんだくらいで、いきなりインド映画伝説の監督、グル・ダットだ。作品は、詩人のヴィジャイ(グル・ダット)の俗世間との葛藤を描き悲壮感が漂うが、グル・ダット映画の女神といわれるワヒーダー・ラフマーン(グラーブ役)の登場シーンはもちろん、ヴィジャイの嘆きさえも、甘美な言葉と歌の魅力に溢れている。インド映画の奥深さ、実感です。

講演
上映前に、映画評論家の佐藤忠男氏による講演があります。
佐藤忠男(映画評論家)1930年生まれ。新潟出身。「映画評論」「思想の科学」の編集長を務め、62年以降はフリーの映画評論家として活動。73年から個人雑誌「映画史研究」を編集する。その領域は映画評論から芸能、演劇、教育と幅広い分野にまたがる。96年より日本映画学校学校長。